抗がん剤の副作用の目安
まずは、 抗がん剤 の副作用・問題点を知ることが大事です。
抗がん剤 の副作用には、グレード0からグレード4までがある
実際に患者さんが耐えられない副作用はグレード2以上の副作用と言われていますので、グレード1以下の副作用に抑えることが大事だと考えます。
グレード0またはグレード1
抗がん剤 を投与されても何も副作用的な症状が認められない。あるいは、なんとなく調子が悪いけれど、出現した症状に対して何の投薬を行わなくても2、3日すれば収まってしまう程度のもの。
この程度であれば、患者さんは副作用を我慢出来ますし、副作用で 抗がん剤 を中止することなく 抗がん剤 の継続投与が可能です。
グレード2以上の副作用
副作用の症状に対して何か処方や処置をしなければいけないものや、 抗がん剤 を中断したり延期したりしなくてはならないものは、グレード2以上の副作用といいます。
また、 抗がん剤 の副作用は大きく分けると二つに分けられます。
- 血液データという数字で出てくるもの。
- 自覚症状。
数字の副作用は、主治医がチェックしていますので患者さん自身が心配しなくても大丈夫ですが、問題は自覚症状の方の副作用です。つまり、患者さん自身が 抗がん剤 を我慢できるか出来ないかということなのです。しかも自覚症状の副作用は、本人の性格とか治療状況とかに大きく左右されます。
例えば、我慢強い人は少しきつくても大丈夫です。と言うこともあるし、我慢強くない人でも、治療効果がかなり出ていて、これだけ効果が出ているからとりあえず我慢しようかな?というようになります。
私は、それでもいいじゃないかと思うのです。
逆に同じ副作用でも効いていなければ、グレード1でも我慢出来ない。そういうケースもあると思うのです。少なくとも副作用と がん が小さくなるというのは、どちらが先かと言うと副作用が先に出るのです。
抗がん剤 の問題点
今までの 抗がん剤 には、” 抗がん剤 の問題点” というのがあって、 抗がん剤 が効いているか効いていないかが評価されるのは2クールもしくは3クールめなのです。
しかし、予定した通りに2クール3クールきっちり出来るのは全体の大体60~70%くらいなのです。残りの30~40%の患者さんは有効性が判定される前に副作用で中断されるわけです。
つまり30~40%の人というのはその 抗がん剤 が効くのか効かないのか分からないうちに中止されるのです。
そのため 抗がん剤 は有効性が判断される前に副作用によって中止されることも多いのです。それは医師が 抗がん剤 を減らすと効かないのではないか?と思っているように感じます。
私は、実はそんなことは無いと思います。
<私が知っている実例の1つ>
以前、ある患者さんに主治医の先生に「 抗がん剤 を減らして使ってください。」といってくださいと言うと、「 抗がん剤 を減らしたら効かないよ。」と言われたといいます。
それでもいいから減らして使ってくださいと言って仕方なくやってもらったのですが、それで がん が小さくなったことがあったのです。
すると主治医は、「 抗がん剤 は減らしても効くことがあるんですね。」と言っていました。
私は、 抗がん剤 は患者さんによって適量があると言われていて、どういうことを適量と判断するかが問題だと思います。
短期に がん の縮小を目的に治療をするのであれば、副作用に関係なく縮小だけを目標に適量を決めるといいと思いますが、ほとんどの患者さんは短期間の縮小ではなくて、どちらかと言えば長期の生存を希望しているはずです。
そうすると長期間に渡って継続可能な治療が必要になるわけです。
しかし、普通は 抗がん剤 は少なすぎては効果がないと考えます。
抗がん剤 の適量は副作用で決めるしか今のところ方法がありません。つまり、グレード1程度の副作用がでるまでは 抗がん剤 の増量が可能ということです。
そうやって適量の 抗がん剤 を継続して使った結果、効果があるかないかを判断すればいいと考えます。
抗がん剤 の量は、医師の責任でやらなければいけない
一般的に 抗がん剤 の投与量は投与される患者さんの身体の大きさで決めるのが適量とされていますが、本当にそれが正しいのでしょうか?
製薬会社は医薬品を厚労省に申請する場合、用法や用量まできちんと決められた形で許可を得るわけですので、それ以外の使い方を知っていてもその情報を医師に伝えることはしません。
つまり、製造者責任法という法律があって認可を受けていない使用法を伝えた結果、効果がなかった場合製薬メーカーが責任を追及されることになる可能性があるので、 抗がん剤 を減量して投与する方法などの情報が、製薬会社から医師に伝わることはまずありません。
そういう 抗がん剤 の使い方は、多くの文献が出ていますので医師自身が論文を読んで勉強するしかないわけです。こういう治療法は、医師の責任でやらなきゃいけないと思うのです。いわゆる自己責任というのは患者さんだけの責任じゃなくて我々医師の責任でもあるわけです。
結論 ( 抗がん剤 の副作用の目安)
私は、あくまで 抗がん剤 は副作用が少ない形で継続して投与されることがとても重要だと思いますし、そういう 抗がん剤 と免疫療法との併用で相乗効果が認められると考えています。
先にも述べましたが、 抗がん剤 の適量は副作用で決めるしか今のところ方法がありません。つまり、グレード1程度の副作用がでるまでは 抗がん剤 の増量が可能ということです。適量の 抗がん剤 を継続して使った結果、効果があるかないかを判断していくしかないと考えます。
→ 抗がん剤の現状 を参考にお読みください。
「元近畿大学腫瘍免疫研究所 丸山医師」