抗がん剤で白血球が減少した場合の対策
抗がん剤の副作用で白血球減少があります。そしてこの副作用の先に感染症という副作用が発現します。
これは抗がん剤による副作用と深く関係していることになります。そこで抗がん剤による白血球減少の原因とその対策について解説します。
なぜ抗がん剤治療をすると白血球が減少するのでしょうか
抗がん剤は癌細胞と死滅させたり抑制したりします。この作用は正常細胞へも同様なことが起こります。それは癌細胞が正常細胞の遺伝子が変異して出来たからです。つまり癌細胞は正常細胞に近いのです。
抗がん剤の副作用は、正常細胞の中で分裂が盛んに行われている順番に発現されます。
それは、毛根、消化管粘膜、骨髄、爪、皮膚、結膜などになります。白血球減少はこの中の骨髄抑制で発現する副作用であります。そして白血球減少は抗がん剤が投与されてから1〜2週間後に発現します。
この自覚症状はありません。だから血液検査をするのです。
また白血球減少を含めた骨髄抑制をするのは、代謝拮抗薬系の抗がん剤と言われています。
いろいろな種類の白血球で何が減少するから感染症が発生するのか
白血球には好中球・好酸球・好塩基球などの種類に分類することができます。その中で感染症にならないための免疫の働きをしているのが好中球になります。
この好中球の正常値は2000〜7000/㎣であります。
これが抗がん剤の作用により好中球数が1000㎣以下になるのです。
このときから感染症に罹る可能性が出てきます。
さらに、抗がん剤が繰り返し投与されることで好中球が500㎣以下になることがあります。
このような時に感染症に罹ると重症化する危険性が高くなります。
白血球減少は抗がん剤投与から1〜2週間後に発現する副作用です。
白血球減少で感染症が発生する部位と症状
・口腔内 発赤 痛み 歯肉の腫れ 歯の痛み
・上気道 喉の腫れ、痛み、鼻水
・肺と気管支 咳、痰、息苦しさ
・消化器 腹痛、下痢、吐き気
・肛門 肛門の発赤、腫れ、痛み、痔痛の強化
・尿路 尿の濁り、尿の増加、排尿痛、残尿感、血尿
・皮膚 唇や皮膚の痛み、水泡、傷口周囲の腫れ
・その他 38度以上の発熱、悪寒、震え、頭痛、関節痛
白血球減少の副作用への対策
抗がん剤による白血球減少は感染症を発現させる恐れがあり、それに感染症を悪化させる恐れがあるため、対策が必要になります。
病院に連絡しましょう
発熱があった時には病院に連絡し医師に相談しましょう。抗菌剤などで対処ができます。また白血球を上昇させる薬剤もあります。
食事への対処
食事は体力の維持に大切なことです。体力は感染症対策になります。それには栄養のバランスを考えた食事をとりましょう。
白血球減少が発現したときは、加熱した食事にして食中毒に罹らないようにしましょう。
手洗い対策
食後、投薬後、排泄後、外出後、掃除の後、ペットに触れた後は、洗浄剤で丁寧に手を洗いましょう。感染症対策になります。
外出後の対策
外出時はマスクをしましょう。またなるべく人混みを避けるようにしましょう。
外出後、食後、投薬後はイソジンガーグルやハチアズレン含嗽液でうがいをしましょう。口内炎などがある場合はしみない生理食塩水にすると良いでしょう。
皮膚の対策
皮膚についた常在菌を減らすために、毎日シャワーや入浴して清潔を保ちましょう。
部屋を清潔にする対策
毎日の部屋の掃除を心がけ清潔を保ちましょう。カーテンの洗濯やエアコンの掃除をしましょう。白血球減少時にはペットを飼うことや生花を置くことは避けましょう。
口腔内の対策
歯科を受診して歯垢を除去して感染を予防しましょう。
基本的なことですが、毎日歯を磨き、口内炎がある時は綿棒やスポンジブラシでケアしていくと良いです。
抗がん剤治療による白血球減少は免疫力が低下するため、感染症対策をすることで副作用の悪化を防ぐことができます。