膵癌の抗がん剤の副作用とその対策

膵癌は早期発見が難しい癌と言われています。そのため手術ができないケースが多く、抗がん剤を使用することが多くなるのです。これは抗がん剤による副作用と膵癌が深い関係になります。

そこで膵癌に対する抗がん剤治療でどのような副作用があり、それにはどのような対策ができるか解説します。

膵癌における抗がん剤治療でなぜ副作用が発現するか

膵癌は自覚症状がない癌と言われています。それに進行の速い癌でもあります。これは膵癌が発見された時、すでに進行がんになっているケースが高いことに繋がります。

ところが現在の抗がん剤では、進行を遅らせるか、癌を縮小させるかだけになります。膵癌が難治性の癌の代表と言われる所以です。

この難治性の膵癌に抗がん剤治療をする時は、がん細胞へ強く作用を細胞障害性抗がん剤になります。

それも2剤以上の組み合わせになるため、癌細胞だけではなく正常細胞の遺伝子まで攻撃をします。

これは細胞の新陳代謝のサイクルが速い消化器管・毛髪・骨髄・皮膚などへ副作用が顕著に発現します。

 

膵癌への抗がん剤治療による副作用

膵癌は難治性の癌であることと根治を望める薬剤が少ないことのため、細胞障害性抗がん剤の組み合わせの治療になります。

この組み合わせには薬剤単独も含めて5種類になります。

それは、ゲムシタビン+エルイロニブ、FOLFINOX療法、ゲムシタビン+ナブペクリタキセル、ゲムシタビン単独、TS—1単独になります。

これらの主な副作用は、吐き気、嘔吐、下痢、食欲不振、口内炎、皮膚の色素沈着、しびれなどの神経障害、脱毛、感染症、貧血、出血、肝機能障害、腎機能障害、全身の倦怠感、アレルギー、白血球減少、血小板減少、赤血球減少、間質性肺炎、空咳、発熱などになります。抗がん剤治療によるほとんどの副作用が現れます。

 

膵癌による抗がん剤の副作用対策

膵癌への抗がん剤治療は細胞障害性を目的としているため、副作用は強く発現します。そのために投与を中止したり別の抗がん剤へ変更することがあります。

また最近になって新薬も登場していることもあり副作用も軽減されています。しかし抗がん剤治療することで代表的な副作用は発現します。そこでこの副作用の対策について紹介します。

 

吐き気と嘔吐

抗がん剤が嘔吐神経などを刺激するために吐き気が発生します。
対策として抗がん剤投与日は食事を少なくするまたは食べないようにします。また吐き気があるときはゆっくり時間をかけて少量ずつ食べるようにしましょう。

食事はお粥やうどんなどの消化のよい食べ物にすること、揚げ物・煮物・煮魚・焼き魚・乳製品などは避ける方が良いです。酷い時は医師に相談しましょう。制吐剤での対策もできます。

 

脱毛

抗がん剤が毛髪の細胞を攻撃するために髪の毛・眉毛・まつげなどが抜けます。

対策としてカツラやナイトキャップを準備して精神的ショックを和らげましょう。また髪の毛や頭皮に負担を掛けないように刺激の少ないシャンプーとリンス、柔らかいヘヤブラシを使用しましょう。

 

口内炎

抗がん剤治療による口腔粘膜への攻撃によって口内炎が発生します。
対策としては粘膜の炎症が継続するため、消毒や痛み止めの作用があるうがい薬を使います。

 

下痢

抗がん剤治療による腸管粘膜の攻撃や腸の神経を刺激することで下痢が発生します。

対策として水分を補給することと消化の良いものを食べるようにしましょう。またバナナや果物ジュースでカリウムを補給しましょう。

脂質分の多い食べ物、乳製品、香辛料の強い食べ物、炭酸水は避ける方が良いです。

 

便秘

抗がん剤が自律神経に影響をしたりまた吐き気止めの副作用により便秘が発生します。

対策として水分補給と繊維を食べること、マッサージなどで腸の運動を刺激するなどになります。

 

感染症

抗がん剤による骨髄細胞への攻撃により白血球が減少します。そのため細菌やウイルスによる感染症が発生し易くなります。

対策としては食後や外出の後に手洗いやうがいをすること、人混みの中へ行くことはなるべく避けること、外出するときはマスクすることなどで細菌やウイルスに感染しないようにします。

また毎日入浴やシャワーをすること、トイレ後に陰部を洗うことも感染症予防になります。

 

貧血

抗がん剤による骨髄細胞への攻撃により赤血球が減少します。そのため貧血が発生します。

対策としてゆっくり動作をすることで息切れや動悸をさせないようにしましょう。また貧血が酷い場合は輸血が必要になります。無理をしないで医師に相談しましょう。

 

出血

抗がん剤による骨髄細胞への攻撃により血小板が減少します。そのため出血し易くなります。

対策として転倒や外傷、打撲などをしないように注意して動きましょう。また血小板が著しく低下した時は入院をして輸血になります。

 

しびれ

抗がん剤の作用により神経障害されしびれが発現すると言われています。対策として手足の感覚が鈍るため、入浴時に手足を温めることやマッサージをすることで血行をよくしましょう。

 

疲労と倦怠感

抗がん剤治療の回数が増えることによって疲れや体が重いなどの症状が蓄積されます。対策としては安静にしていることになります。

また家事や仕事で無理をしないことです。

膵癌は進行が速く発見が遅れる難治性の癌になります。そのため進行癌としての強い抗がん剤を使用します。そのため副作用への対策が大事になります。